往年のスーパースポット。現在はデザインが少し変わっている。
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もうひとつ、コーデル社を紹介するのにとっておきの話がある。この会社はラトルルアーを生んだメーカーでもあるのだが、実はこのラトルルアーには誕生秘話があるのだ。
それは70年代後半、スーパースポット製造現場で起こった。このバイブレーションルアーは、ヘドンのスーパーソニックを追いかけたもので、当初はソニックと同じくノンラトルだった。バランスを調整するためのウェイトは、内部にピッタリ収まるように設計されていたのだ。
ある日、ウェイトをはめる作業を担当していた女工さんがミスを犯してしまう。前夜にダンナとケンカでもしたのだろうか、その日一日、スポットに入れるウェイトのサイズを間違え、本来のサイズより小さいものを入れてしまった。そしてこのスポットはそのまま出荷されてしまう。
この日この女工さんによってウェイトをつめられたスポットは、振れば当然のこと音が鳴ったわけだ。まったく同じサイズで同じカラーで、同じパッケージのスポットなのに、振ると音の鳴るのものと本来の鳴らないものが市場に出回ったことになる。といっても全体の量からすればその日一日だけだったから、ほんのわずかでしかなかったはずだ。見過ごされても不思議ではなかった。しかし、これが鋭いアングラーに発見されることになる。
後日、コーデル社にアングラーから電話が入る。「おたくのスポットで音の鳴るヤツ、あれがよく釣れるんだ。欲しいんだけど、お店にはもうないんだよ。売ってくれ」。
電話を受けたオペレーターは何のことだかわからないのでデザイナーに電話を回した。デザイナーは断言する。「それはウチのルアーじゃないですよ」。
「いや、おたくのスポットだ」
デザイナーはいう。「お客さん、申し訳ないけどそのルアーを送ってもらえませんか」。
送られてきたルアーを見てデザイナーは驚く。確かにスポットだ。そして音が鳴る。これはウェイトを間違えたなと想像がついた。
こんどはデザイナーが電話を入れた。「このルアーを解体させてもらえませんか。お返しに同じものをたっぷり差し上げますので」。
OKを取り付けてこのスポットはグラインダーでまっぷたつに切られた。すると案の定、本来入れられるべきウェイトより小さいものが入っていた。
振れば音が鳴るルアーがいいのなら、それを作ろうじゃないか。こうしてラトルサウンド付のスポットが誕生した。そしてこのラトルルアーは爆発的なヒットを飛ばし、他のタイプのルアーにもラトルサウンドが導入されるようになる。ミノーではログ(スミスウィック)が最初にラトルを入れた。ポッパーではレーベルのポップRだ。
「当初私はボートドックのお客さんと友人のためにルアーを作った。そしていまは全世界を相手にルアーを作っている。規模は変わってもお客さんも友人も、そして世界中のアングラーたちも、私のルアーで魚を釣っていることに変わりはない。もし私のルアーが釣れないものならば、もはや私の名はコットンコーデルではない」。
創業10年後、世界を相手にするまで成長したコーデル社長はそう語った。規模は変わっても「釣れるルアー」を提供するというコンセプトは変わらないと断言したわけだ。この精神はそのままコットンコーデルブランドのルアーに引き継がれている。
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